2020/05/04(月)民事再生法第221条(手続開始の要件等)

(手続開始の要件等)
第二百二十一条 個人である債務者のうち、将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがあり、かつ、再生債権の総額(住宅資金貸付債権の額、別除権の行使によって弁済を受けることができると見込まれる再生債権の額及び再生手続開始前の罰金等の額を除く。)が五千万円を超えないものは、この節に規定する特則の適用を受ける再生手続(以下「小規模個人再生」という。)を行うことを求めることができる。

2 小規模個人再生を行うことを求める旨の申述は、再生手続開始の申立ての際(債権者が再生手続開始の申立てをした場合にあっては、再生手続開始の決定があるまで)にしなければならない。

3 前項の申述をするには、次に掲げる事項を記載した書面(以下「債権者一覧表」という。)を提出しなければならない。
  一 再生債権者の氏名又は名称並びに各再生債権の額及び原因
  二 別除権者については、その別除権の目的である財産及び別除権の行使によって弁済を受けることができないと見込まれる再生債権の額(以下「担保不足見込額」という。)
  三 住宅資金貸付債権については、その旨
  四 住宅資金特別条項を定めた再生計画案を提出する意思があるときは、その旨
  五 その他最高裁判所規則で定める事項

4 再生債務者は、債権者一覧表に各再生債権についての再生債権の額及び担保不足見込額を記載するに当たっては、当該額の全部又は一部につき異議を述べることがある旨をも記載することができる。

5 第一項に規定する再生債権の総額の算定及び債権者一覧表への再生債権の額の記載に関しては、第八十七条第一項第一号から第三号までに掲げる再生債権は、当該各号に掲げる債権の区分に従い、それぞれ当該各号に定める金額の債権として取り扱うものとする。

6 再生債務者は、第二項の申述をするときは、当該申述が第一項又は第三項に規定する要件に該当しないことが明らかになった場合においても再生手続の開始を求める意思があるか否かを明らかにしなければならない。ただし、債権者が再生手続開始の申立てをした場合については、この限りでない。

7 裁判所は、第二項の申述が前項本文に規定する要件に該当しないことが明らかであると認めるときは、再生手続開始の決定前に限り、再生事件を通常の再生手続により行う旨の決定をする。ただし、再生債務者が前項本文の規定により再生手続の開始を求める意思がない旨を明らかにしていたときは、裁判所は、再生手続開始の申立てを棄却しなければならない。

2020/05/03(日)民事再生法第222条(再生手続開始に伴う措置)

(再生手続開始に伴う措置)
第二百二十二条 小規模個人再生においては、裁判所は、再生手続開始の決定と同時に、債権届出期間のほか、届出があった再生債権に対して異議を述べることができる期間をも定めなければならない。この場合においては、一般調査期間を定めることを要しない。

2 裁判所は、再生手続開始の決定をしたときは、直ちに、再生手続開始の決定の主文、債権届出期間及び前項に規定する届出があった再生債権に対して異議を述べることができる期間(以下「一般異議申述期間」という。)を公告しなければならない。

3 再生債務者及び知れている再生債権者には、前項に規定する事項を通知しなければならない。

4 知れている再生債権者には、前条第三項各号及び第四項の規定により債権者一覧表に記載された事項を通知しなければならない。

5 第二項及び第三項の規定は、債権届出期間に変更を生じた場合について準用する。

2020/05/02(土)民事再生法第223条(個人再生委員)

 (個人再生委員)
第二百二十三条 裁判所は、第二百二十一条第二項の申述があった場合において、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、一人又は数人の個人再生委員を選任することができる。ただし、第二百二十七条第一項本文に規定する再生債権の評価の申立てがあったときは、当該申立てを不適法として却下する場合を除き、個人再生委員の選任をしなければならない。

2 裁判所は、前項の規定による決定をする場合には、個人再生委員の職務として、次に掲げる事項の一又は二以上を指定するものとする。
  一 再生債務者の財産及び収入の状況を調査すること。
  二 第二百二十七条第一項本文に規定する再生債権の評価に関し裁判所を補助すること。
  三 再生債務者が適正な再生計画案を作成するために必要な勧告をすること。

3 裁判所は、第一項の規定による決定において、前項第一号に掲げる事項を個人再生委員の職務として指定する場合には、裁判所に対して調査の結果の報告をすべき期間をも定めなければならない。

4 裁判所は、第一項の規定による決定を変更し、又は取り消すことができる。

5 第一項及び前項の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。

6 前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。

7 第五項に規定する裁判及び同項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。

8 第二項第一号に掲げる事項を職務として指定された個人再生委員は、再生債務者又はその法定代理人に対し、再生債務者の財産及び収入の状況につき報告を求め、再生債務者の帳簿、書類その他の物件を検査することができる。

9 個人再生委員は、費用の前払及び裁判所が定める報酬を受けることができる。

10 第五十四条第三項、第五十七条、第五十八条、第六十条及び第六十一条第二項から第四項までの規定は、個人再生委員について準用する。

2020/05/01(金)民事再生法第224条(再生債権の届出の内容)

(再生債権の届出の内容)
第二百二十四条 小規模個人再生においては、再生手続に参加しようとする再生債権者は、議決権の額を届け出ることを要しない。

2 小規模個人再生における再生債権の届出に関しては、第二百二十一条第五項の規定を準用する。

2020/04/30(木)民事再生法第225条(再生債権のみなし届出)

 (再生債権のみなし届出)
第二百二十五条 債権者一覧表に記載されている再生債権者は、債権者一覧表に記載されている再生債権については、債権届出期間内に裁判所に当該再生債権の届出又は当該再生債権を有しない旨の届出をした場合を除き、当該債権届出期間の初日に、債権者一覧表の記載内容と同一の内容で再生債権の届出をしたものとみなす。

2020/04/29(水)民事再生法第226条(届出再生債権に対する異議)

 (届出再生債権に対する異議)
第二百二十六条 再生債務者及び届出再生債権者は、一般異議申述期間内に、裁判所に対し、届出があった再生債権の額又は担保不足見込額について、書面で、異議を述べることができる。ただし、再生債務者は、債権者一覧表に記載した再生債権の額及び担保不足見込額であって第二百二十一条第四項の規定により異議を述べることがある旨を債権者一覧表に記載していないものについては、異議を述べることができない。

2 第九十五条の規定による届出又は届出事項の変更があった場合には、裁判所は、その再生債権に対して異議を述べることができる期間(以下「特別異議申述期間」という。)を定めなければならない。

3 再生債務者及び届出再生債権者は、特別異議申述期間内に、裁判所に対し、特別異議申述期間に係る再生債権の額又は担保不足見込額について、書面で、異議を述べることができる。

4 第百二条第三項から第五項までの規定は特別異議申述期間を定める決定又は一般異議申述期間若しくは特別異議申述期間を変更する決定をした場合における裁判書の送達について、第百三条第二項の規定は第二項の場合について準用する。

5 再生手続開始前の罰金等及び債権者一覧表に住宅資金特別条項を定めた再生計画案を提出する意思がある旨の記載がされた場合における第百九十八条第一項に規定する住宅資金貸付債権については、前各項の規定は、適用しない。

6 再生債務者が債権者一覧表に住宅資金特別条項を定めた再生計画案を提出する意思がある旨の記載をした場合には、第百九十八条第一項に規定する住宅資金貸付債権を有する再生債権者であって当該住宅資金貸付債権以外に再生債権を有しないもの及び保証会社であって住宅資金貸付債権に係る債務の保証に基づく求償権以外に再生債権を有しないものは、第一項本文及び第三項の異議を述べることができない。

2020/04/28(火)民事再生法第227条(再生債権の評価)

 (再生債権の評価)
第二百二十七条 前条第一項本文又は第三項の規定により再生債務者又は届出再生債権者が異議を述べた場合には、当該再生債権を有する再生債権者は、裁判所に対し、異議申述期間の末日から三週間の不変期間内に、再生債権の評価の申立てをすることができる。ただし、当該再生債権が執行力ある債務名義又は終局判決のあるものである場合には、当該異議を述べた者が当該申立てをしなければならない。

2 前項ただし書の場合において、前項本文の不変期間内に再生債権の評価の申立てがなかったとき又は当該申立てが却下されたときは、前条第一項本文又は第三項の異議は、なかったものとみなす。

3 再生債権の評価の申立てをするときは、申立人は、その申立てに係る手続の費用として裁判所の定める金額を予納しなければならない。

4 前項に規定する費用の予納がないときは、裁判所は、再生債権の評価の申立てを却下しなければならない。

5 裁判所は、第二百二十三条第一項の規定による決定において、同条第二項第二号に掲げる事項を個人再生委員の職務として指定する場合には、裁判所に対して調査の結果の報告をすべき期間をも定めなければならない。

6 第二百二十三条第二項第二号に掲げる事項を職務として指定された個人再生委員は、再生債務者若しくはその法定代理人又は再生債権者(当該個人再生委員が同項第一号に掲げる事項をも職務として指定された場合にあっては、再生債権者)に対し、再生債権の存否及び額並びに担保不足見込額に関する資料の提出を求めることができる。

7 再生債権の評価においては、裁判所は、再生債権の評価の申立てに係る再生債権について、その債権の存否及び額又は担保不足見込額を定める。

8 裁判所は、再生債権の評価をする場合には、第二百二十三条第二項第二号に掲げる事項を職務として指定された個人再生委員の意見を聴かなければならない。

9 第七項の規定による再生債権の評価については、第二百二十一条第五項の規定を準用する。

10 再生手続開始前の罰金等及び債権者一覧表に住宅資金特別条項を定めた再生計画案を提出する意思がある旨の記載がされた場合における第百九十八条第一項に規定する住宅資金貸付債権については、前各項の規定は、適用しない。

2020/04/26(日)民事再生法第229条(再生計画による権利の変更の内容等)

(再生計画による権利の変更の内容等)
第二百二十九条 小規模個人再生における再生計画による権利の変更の内容は、不利益を受ける再生債権者の同意がある場合又は少額の再生債権の弁済の時期若しくは第八十四条第二項に掲げる請求権について別段の定めをする場合を除き、再生債権者の間では平等でなければならない。

2 再生債権者の権利を変更する条項における債務の期限の猶予については、前項の規定により別段の定めをする場合を除き、次に定めるところによらなければならない。
  一 弁済期が三月に一回以上到来する分割払の方法によること。
  二 最終の弁済期を再生計画認可の決定の確定の日から三年後の日が属する月中の日(特別の事情がある場合には、再生計画認可の決定の確定の日から五年を超えない範囲内で、三年後の日が属する月の翌月の初日以降の日)とすること。

3 第一項の規定にかかわらず、再生債権のうち次に掲げる請求権については、当該再生債権者の同意がある場合を除き、債務の減免の定めその他権利に影響を及ぼす定めをすることができない。
  一 再生債務者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
  二 再生債務者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権(前号に掲げる請求権を除く。)
  三 次に掲げる義務に係る請求権
    イ 民法第七百五十二条の規定による夫婦間の協力及び扶助の義務
    ロ 民法第七百六十条の規定による婚姻から生ずる費用の分担の義務
    ハ 民法第七百六十六条(同法第七百四十九条、第七百七十一条及び第七百八十八条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護に関する義務
    ニ 民法第八百七十七条から第八百八十条までの規定による扶養の義務
    ホ イからニまでに掲げる義務に類する義務であって、契約に基づくもの

4 住宅資金特別条項によって権利の変更を受ける者と他の再生債権者との間については第一項の規定を、住宅資金特別条項については第二項の規定を適用しない。

2020/04/25(土)民事再生法第230条(再生計画案の決議)

 (再生計画案の決議)
第二百三十条 裁判所は、一般異議申述期間(特別異議申述期間が定められた場合には、当該特別異議申述期間を含む。)が経過し、かつ、第百二十五条第一項の報告書の提出がされた後でなければ、再生計画案を決議に付することができない。当該一般異議申述期間内に第二百二十六条第一項本文の規定による異議が述べられた場合(特別異議申述期間が定められた場合には、当該特別異議申述期間内に同条第三項の規定による異議が述べられた場合を含む。)には、第二百二十七条第一項本文の不変期間を経過するまでの間(当該不変期間内に再生債権の評価の申立てがあったときは、再生債権の評価がされるまでの間)も、同様とする。

2 裁判所は、再生計画案について第百七十四条第二項各号(第三号を除く。住宅資金特別条項を定めた再生計画案については、第二百二条第二項第一号から第三号まで)又は次条第二項各号のいずれかに該当する事由があると認める場合には、その再生計画案を決議に付することができない。

3 再生計画案の提出があったときは、裁判所は、前二項の場合を除き、議決権行使の方法としての第百六十九条第二項第二号に掲げる方法及び第百七十二条第二項(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定により議決権の不統一行使をする場合における裁判所に対する通知の期限を定めて、再生計画案を決議に付する旨の決定をする。

4 前項の決定をした場合には、その旨を公告するとともに、議決権者に対して、同項に規定する期限、再生計画案の内容又はその要旨及び再生計画案に同意しない者は裁判所の定める期間内に同項の規定により定められた方法によりその旨を回答すべき旨を通知しなければならない。

5 第三項の決定があった場合における第百七十二条第二項(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定の適用については、同条第二項中「第百六十九条第二項前段」とあるのは、「第二百三十条第三項」とする。

6 第四項の期間内に再生計画案に同意しない旨を同項の方法により回答した議決権者が議決権者総数の半数に満たず、かつ、その議決権の額が議決権者の議決権の総額の二分の一を超えないときは、再生計画案の可決があったものとみなす。

7 再生計画案に同意しない旨を第四項の方法により回答した議決権者のうち第百七十二条第二項(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定によりその有する議決権の一部のみを行使したものがあるときの前項の規定の適用については、当該議決権者一人につき、議決権者総数に一を、再生計画案に同意しない旨を第四項の方法により回答した議決権者の数に二分の一を、それぞれ加算するものとする。

8 届出再生債権者は、一般異議申述期間又は特別異議申述期間を経過するまでに異議が述べられなかった届出再生債権(第二百二十六条第五項に規定するものを除く。以下「無異議債権」という。)については届出があった再生債権の額又は担保不足見込額に応じて、第二百二十七条第七項の規定により裁判所が債権の額又は担保不足見込額を定めた再生債権(以下「評価済債権」という。)についてはその額に応じて、それぞれ議決権を行使することができる。