2020/08/18(火)民事再生法第127条(再生債権者を害する行為の否認)

 (再生債権者を害する行為の否認)
第百二十七条 次に掲げる行為(担保の供与又は債務の消滅に関する行為を除く。)は、再生手続開始後、再生債務者財産のために否認することができる。
  一 再生債務者が再生債権者を害することを知ってした行為。ただし、これによって利益を受けた者が、その行為の当時、再生債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。
  二 再生債務者が支払の停止又は再生手続開始、破産手続開始若しくは特別清算開始の申立て(以下この節において「支払の停止等」という。)があった後にした再生債権者を害する行為。ただし、これによって利益を受けた者が、その行為の当時、支払の停止等があったこと及び再生債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。

2 再生債務者がした債務の消滅に関する行為であって、債権者の受けた給付の価額が当該行為によって消滅した債務の額より過大であるものは、前項各号に掲げる要件のいずれかに該当するときは、再生手続開始後、その消滅した債務の額に相当する部分以外の部分に限り、再生債務者財産のために否認することができる。

3 再生債務者が支払の停止等があった後又はその前六月以内にした無償行為及びこれと同視すべき有償行為は、再生手続開始後、再生債務者財産のために否認することができる。

2020/08/17(月)民事再生法第127条の2(相当の対価を得てした財産の処分行為の否認)

 (相当の対価を得てした財産の処分行為の否認)
第百二十七条の二 再生債務者が、その有する財産を処分する行為をした場合において、その行為の相手方から相当の対価を取得しているときは、その行為は、次に掲げる要件のいずれにも該当する場合に限り、再生手続開始後、再生債務者財産のために否認することができる。
  一 当該行為が、不動産の金銭への換価その他の当該処分による財産の種類の変更により、再生債務者において隠匿、無償の供与その他の再生債権者を害することとなる処分(以下「隠匿等の処分」という。)をするおそれを現に生じさせるものであること。
  二 再生債務者が、当該行為の当時、対価として取得した金銭その他の財産について、隠匿等の処分をする意思を有していたこと。
  三 相手方が、当該行為の当時、再生債務者が前号の隠匿等の処分をする意思を有していたことを知っていたこと。

2 前項の規定の適用については、当該行為の相手方が次に掲げる者のいずれかであるときは、その相手方は、当該行為の当時、再生債務者が同項第二号の隠匿等の処分をする意思を有していたことを知っていたものと推定する。
  一 再生債務者が法人である場合のその理事、取締役、執行役、監事、監査役、清算人又はこれらに準ずる者
  二 再生債務者が法人である場合にその再生債務者について次のイからハまでに掲げる者のいずれかに該当する者
    イ 再生債務者である株式会社の総株主の議決権の過半数を有する者
    ロ 再生債務者である株式会社の総株主の議決権の過半数を子株式会社又は親法人及び子株式会社が有する場合における当該親法人
    ハ 株式会社以外の法人が再生債務者である場合におけるイ又はロに掲げる者に準ずる者
  三 再生債務者の親族又は同居者

2020/08/16(日)民事再生法第127条の3(特定の債権者に対する担保の供与等の否認)

 (特定の債権者に対する担保の供与等の否認)
第百二十七条の三 次に掲げる行為(既存の債務についてされた担保の供与又は債務の消滅に関する行為に限る。)は、再生手続開始後、再生債務者財産のために否認することができる。
  一 再生債務者が支払不能になった後又は再生手続開始、破産手続開始若しくは特別清算開始の申立て(以下この節において「再生手続開始の申立て等」という。)があった後にした行為。ただし、債権者が、その行為の当時、次のイ又はロに掲げる区分に応じ、それぞれ当該イ又はロに定める事実を知っていた場合に限る。
    イ 当該行為が支払不能になった後にされたものである場合 支払不能であったこと又は支払の停止があったこと。
    ロ 当該行為が再生手続開始の申立て等があった後にされたものである場合 再生手続開始の申立て等があったこと。
  二 再生債務者の義務に属せず、又はその時期が再生債務者の義務に属しない行為であって、支払不能になる前三十日以内にされたもの。ただし、債権者がその行為の当時他の再生債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。

2 前項第一号の規定の適用については、次に掲げる場合には、債権者は、同号に掲げる行為の当時、同号イ又はロに掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該イ又はロに定める事実(同号イに掲げる場合にあっては、支払不能であったこと及び支払の停止があったこと)を知っていたものと推定する。
  一 債権者が前条第二項各号に掲げる者のいずれかである場合
  二 前項第一号に掲げる行為が再生債務者の義務に属せず、又はその方法若しくは時期が再生債務者の義務に属しないものである場合

3 第一項各号の規定の適用については、支払の停止(再生手続開始の申立て等の前一年以内のものに限る。)があった後は、支払不能であったものと推定する。

2020/08/16(日)民事再生法第127条の3(特定の債権者に対する担保の供与等の否認)

 (特定の債権者に対する担保の供与等の否認)
第百二十七条の三 次に掲げる行為(既存の債務についてされた担保の供与又は債務の消滅に関する行為に限る。)は、再生手続開始後、再生債務者財産のために否認することができる。
  一 再生債務者が支払不能になった後又は再生手続開始、破産手続開始若しくは特別清算開始の申立て(以下この節において「再生手続開始の申立て等」という。)があった後にした行為。ただし、債権者が、その行為の当時、次のイ又はロに掲げる区分に応じ、それぞれ当該イ又はロに定める事実を知っていた場合に限る。
    イ 当該行為が支払不能になった後にされたものである場合 支払不能であったこと又は支払の停止があったこと。
    ロ 当該行為が再生手続開始の申立て等があった後にされたものである場合 再生手続開始の申立て等があったこと。
  二 再生債務者の義務に属せず、又はその時期が再生債務者の義務に属しない行為であって、支払不能になる前三十日以内にされたもの。ただし、債権者がその行為の当時他の再生債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。

2 前項第一号の規定の適用については、次に掲げる場合には、債権者は、同号に掲げる行為の当時、同号イ又はロに掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該イ又はロに定める事実(同号イに掲げる場合にあっては、支払不能であったこと及び支払の停止があったこと)を知っていたものと推定する。
  一 債権者が前条第二項各号に掲げる者のいずれかである場合
  二 前項第一号に掲げる行為が再生債務者の義務に属せず、又はその方法若しくは時期が再生債務者の義務に属しないものである場合

3 第一項各号の規定の適用については、支払の停止(再生手続開始の申立て等の前一年以内のものに限る。)があった後は、支払不能であったものと推定する。

2020/08/15(土)民事再生法第128条(手形債務支払の場合等の例外)

 (手形債務支払の場合等の例外)
第百二十八条 前条第一項第一号の規定は、再生債務者から手形の支払を受けた者がその支払を受けなければ手形上の債務者の一人又は数人に対する手形上の権利を失う場合には、適用しない。

2 前項の場合において、最終の償還義務者又は手形の振出しを委託した者が振出しの当時支払の停止等があったことを知り、又は過失によって知らなかったときは、第五十六条第一項の規定により否認権を行使する権限を付与された監督委員(以下「否認権限を有する監督委員」という。)又は管財人は、これらの者に再生債務者が支払った金額を償還させることができる。

3 前条第一項の規定は、再生債務者が再生手続開始前の罰金等につき、その徴収の権限を有する者に対してした担保の供与又は債務の消滅に関する行為には、適用しない。

2020/08/14(金)民事再生法第129条(権利変動の対抗要件の否認)

 (権利変動の対抗要件の否認)
第百二十九条 支払の停止等があった後権利の設定、移転又は変更をもって第三者に対抗するために必要な行為(仮登記又は仮登録を含む。)をした場合において、その行為が権利の設定、移転又は変更があった日から十五日を経過した後悪意でしたものであるときは、これを否認することができる。ただし、当該仮登記又は仮登録以外の仮登記又は仮登録があった後にこれらに基づいてされた本登記又は本登録は、この限りでない。

2 前項の規定は、権利取得の効力を生ずる登録について準用する。

2020/08/12(水)民事再生法第131条(支払の停止を要件とする否認の制限)

 (支払の停止を要件とする否認の制限)
第百三十一条 再生手続開始の申立て等の日から一年以上前にした行為(第百二十七条第三項に規定する行為を除く。)は、支払の停止があった後にされたものであること又は支払の停止の事実を知っていたことを理由として否認することができない。

2020/08/11(火)民事再生法第132条(否認権行使の効果)

 (否認権行使の効果)
第百三十二条 否認権の行使は、再生債務者財産を原状に復させる。

2 第百二十七条第三項に規定する行為が否認された場合において、相手方は、当該行為の当時、支払の停止等があったこと及び再生債権者を害することを知らなかったときは、その現に受けている利益を償還すれば足りる。

2020/08/10(月)民事再生法第132条の2(再生債務者の受けた反対給付に関する相手方の権利等)

 (再生債務者の受けた反対給付に関する相手方の権利等)
第百三十二条の二 第百二十七条第一項若しくは第三項又は第百二十七条の二第一項に規定する行為が否認されたときは、相手方は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める権利を行使することができる。
  一 再生債務者の受けた反対給付が再生債務者財産中に現存する場合 当該反対給付の返還を請求する権利
  二 再生債務者の受けた反対給付が再生債務者財産中に現存しない場合 共益債権者として反対給付の価額の償還を請求する権利

2 前項第二号の規定にかかわらず、同号に掲げる場合において、当該行為の当時、再生債務者が対価として取得した財産について隠匿等の処分をする意思を有し、かつ、相手方が再生債務者がその意思を有していたことを知っていたときは、相手方は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める権利を行使することができる。
  一 再生債務者の受けた反対給付によって生じた利益の全部が再生債務者財産中に現存する場合 共益債権者としてその現存利益の返還を請求する権利
  二 再生債務者の受けた反対給付によって生じた利益が再生債務者財産中に現存しない場合 再生債権者として反対給付の価額の償還を請求する権利
  三 再生債務者の受けた反対給付によって生じた利益の一部が再生債務者財産中に現存する場合 共益債権者としてその現存利益の返還を請求する権利及び再生債権者として反対給付と現存利益との差額の償還を請求する権利

3 前項の規定の適用については、当該行為の相手方が第百二十七条の二第二項各号に掲げる者のいずれかであるときは、その相手方は、当該行為の当時、再生債務者が前項の隠匿等の処分をする意思を有していたことを知っていたものと推定する。

4 否認権限を有する監督委員又は管財人は、第百二十七条第一項若しくは第三項又は第百二十七条の二第一項に規定する行為を否認しようとするときは、前条第一項の規定により再生債務者財産に復すべき財産の返還に代えて、相手方に対し、当該財産の価額から前三項の規定により共益債権となる額(第一項第一号に掲げる場合にあっては、再生債務者の受けた反対給付の価額)を控除した額の償還を請求することができる。