民事再生手続の流れ

専門家に相談

「資金繰りが厳しい。どうしよう。」
まずは、専門家にご相談ください。資金繰りがきちんと読める、指導できる人を探しましょう。
資金ショート直前だとどうしようもないこともあります(それでも相談はしましょう)。
できる限り1ヶ月程度の余裕がある方が良いですし、もちろん、もっと早めに相談いただければ、法的手続ではなく、よりよい方法が見つかる可能性も高まります。

準備

民事再生手続の申立には準備が必要です。

社内--事前での社内準備
書類--民事再生手続に必要な書面を参照

専門家と相談して申立日を決めて一気に作業をしましょう。

申立

申立自体は、申立代理人となる弁護士が裁判所に申請しますので、経営者が何かする必要はありません。事案によっては、経営者も裁判所に呼ばれることはありますが、そこで尋問されるようなことはないので安心してください。

通常は申立前に専門家に着手金を支払います。ただし、専門家によって報酬額、受け取り方は異なるので、早めに相談しておきましょう。

保全命令

申し立てても、すぐに手続が始まるわけではありません。
まず、保全命令というものがでて、保全期間に入ります。
保全命令とは、会社の財産が流出するのを防ぐために、過去の債務の支払をしてはいけない、という命令を裁判所が出すものです。

保全命令がでてから再生手続の開始の決定までを保全期間といい、この間に裁判所は、「この会社について再生手続を開始してもいいかな」ということを検討します。よほどのことがない限り、開始されますが、準備状況が悪いと、なかなか開始してもらえなかったりすることがあります。

保全期間は、各地方裁判所によって運用が異なりますが、東京地裁では1週間程度のことが多いです。

監督命令

保全命令と同時に、監督命令というものが裁判所から発せられます。
これは、裁判所が選任する弁護士であり、会社との利害関係のない弁護士が再生手続が適法・適切に実行されているか、監督する役目です。

裁判所にも多数の裁判官、書記官がいっらしゃいますが、スピード感があり、ビジネスの専門的なことも理解していないといけないため、裁判所の業務補佐として監督委員が選任されます。
法律上は、監督委員を選任できる、という規程ですが、実務では100%選任されているのが実情です。

裁判所は監督委員の意見をとても重要視します。申立側(会社側)として、手続の相談がある時はまずは監督委員に相談しますが、監督委員を説得できないと、裁判所も説得できないと思っていいでしょう。

予納金

手続開始の決定を出していただく前に、予納金を裁判所に納付する必要があります。
予納金の詳細はこちらをごらんください。最低でも数百万円かかります。
民事再生の実務::経営者向け::予納金

債権者説明会

申し立てたらすぐに、ファックスなどで、債権者(銀行や仕入先、外注先)に連絡をします。
連絡の要旨は、①過去の債務を払えなくなりました。 ②今後について説明会を開きますので、ご来場ください。ということです。

多くの場合、申立から1週間以内に債権者説明会を開催します。
この開催は、会社側が主催しますが、監督委員も出席するのが通例なので、監督委員との日程調整も必要です。

開催場所は様々ですが、外部の会議室を借りることが多いです。

ここで、会社の直近の財務状態、資金繰りを説明し、民事再生手続を開始することに理解を求めます。
この時点で詳細な再生計画は必要ありません。ただ、納得していただくため、おおむねどういう方針で再生していくか、ということは説明する必要があります。

債権者説明会の進行は、申立代理人弁護士が進めますのでご安心ください。
財務の説明は公認会計士がきちんとやります。
経営者は、きちんと債権者にお詫びをし、協力を求めることが重要です。

この説明会では、あくまでも「民事再生手続を開始すること」に大きな反対があるかどうか、ということを把握するのが目的です。再生の方針に反対とか、要望があったとしても、「手続開始」に関する意見を聴取することが必要です。

もし、再生手続が開始できなければ、多くは破産となってしまうので、それを望む債権者は少数であると考えられますが、経営者が許せないほどの不正をしていたり、財務状況をきちんと説明できなかったりした場合には、手続開始への反対意見が多くでることも、たまにあります。

その場合には、再度説明会を開いたり、個別に説明に伺ったりして、債権者の納得を得る必要があります。

この説明会は、多数決ではありません。
出てきた意見を監督委員が吟味し、「開始相当」の意見を裁判所に具申すれば、再生手続は開始されることとなります。

声の大きいだけの債権者が無理を言っている場合もありますので、会社側としては発言している債権者がどういう人だったのかなど、判断に必要な情報を監督委員に提供します。

開始決定

監督委員、裁判所が「民事再生手続を開始することが相当である」と判断すれば、裁判所は開始の決定をします。これを開始決定と言います。
ここからが民事再生続の本番です。