民事再生における事業譲渡

スポンサーに対して事業を譲渡するスキームとしては、以下のような形がありえます。
  1. 再生計画の中で実施
    1. 株式を減増資してスポンサーに株式を割り当て。スポンサーが会社に融資。
    2. 会社分割してスポンサー企業に譲渡
      1. 株式の行方はともかく、スポンサーが会社に融資
      2. (その他もありえます)
  • 再生計画(案)の決議を待たずに譲渡(計画外譲渡と呼ばれます)
    • 早期に事業譲渡
    • 早期に会社分割(事業譲渡より時間がかかります)
ここでは、事業の計画外譲渡について取り上げます。

再生計画(案)の決議をする債権者集会まで、通常5ヶ月かかります(東京地裁標準スケジュール)。
ところが、民事再生手続を申し立てると、取引先の信用不安から取引が円滑に進まず、事業価値の棄損が激しいことがあります。また、棄損の程度は低くても、資金が持たず、民事再生手続を継続できなくなる可能性もよくあるところです。

このような場合、早期にスポンサーに事業譲渡することで事業価値の劣化を防ぎ、再生手続の完遂を目指すことができます。

いくつか要件はありますが、申立から最短1ヶ月~3ヶ月の間で事業譲渡する例が多いです。
(といっても、最短の1ヶ月はかなり珍しく、2ヶ月程度が多いと思います。)

スポンサーにとっても事業価値が劣化して使い物になるうちに事業を譲り受けることができますし、債権者にとっても、より高い金額で譲渡できたほうが弁済率が高くなるので、経済的にはwin-winと言えます。

しかし、このスピード感で、債権者・監督委員が納得しうるスポンサー選定をし、適切な財産評定をするのは、かなり手慣れた公認会計士がいないと難しいでしょう。
なので、相談する専門家は、再生手続に慣れている人を選びましょう。