2020/06/04(木)民事再生法第189条(再生計画の取消し)

 (再生計画の取消し)
第百八十九条 再生計画認可の決定が確定した場合において、次の各号のいずれかに該当する事由があるときは、裁判所は、再生債権者の申立てにより、再生計画取消しの決定をすることができる。
  一 再生計画が不正の方法により成立したこと。
  二 再生債務者等が再生計画の履行を怠ったこと。
  三 再生債務者が第四十一条第一項*1若しくは第四十二条第一項*2の規定に違反し、又は第五十四条第二項*3に規定する監督委員の同意を得ないで同項の行為をしたこと。

2 前項第一号に掲げる事由を理由とする同項の申立ては、再生債権者が再生計画認可の決定に対する即時抗告により同号の事由を主張したとき、若しくはこれを知りながら主張しなかったとき、再生債権者が同号に該当する事由があることを知った時から一月を経過したとき、又は再生計画認可の決定が確定した時から二年を経過したときは、することができない。

3 第一項第二号に掲げる事由を理由とする同項の申立ては、再生計画の定めによって認められた権利の全部(履行された部分を除く。)について裁判所が評価した額の十分の一以上に当たる権利を有する再生債権者であって、その有する履行期限が到来した当該権利の全部又は一部について履行を受けていないものに限り、することができる。

4 裁判所は、再生計画取消しの決定をしたときは、直ちに、その裁判書を第一項の申立てをした者及び再生債務者等に送達し、かつ、その主文及び理由の要旨を公告しなければならない。

5 第一項の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。

6 第四項の決定は、確定しなければその効力を生じない。

7 第四項の決定が確定した場合には、再生計画によって変更された再生債権は、原状に復する。ただし、再生債権者が再生計画によって得た権利に影響を及ぼさない。

8 第百八十五条の規定は第四項の決定が確定した場合について、前条第四項の規定は再生手続終了前に第四項の決定が確定した場合について準用する。

参照

民事再生規則第95条(再生計画取消しの申立ての方式・法第百八十九条)

*1 : 裁判所は、再生手続開始後において、必要があると認めるときは、再生債務者等が次に掲げる行為をするには裁判所の許可を得なければならないものとすることができる。一 財産の処分 二 財産の譲受け 三 借財 四 第四十九条第一項の規定による契約の解除 五 訴えの提起 六 和解又は仲裁合意(仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第二条第一項に規定する仲裁合意をいう。) 七 権利の放棄 八 共益債権、一般優先債権又は第五十二条に規定する取戻権の承認 九 別除権の目的である財産の受戻し 十 その他裁判所の指定する行為

*2 : 再生手続開始後において、再生債務者等が次に掲げる行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。この場合において、裁判所は、当該再生債務者の事業の再生のために必要であると認める場合に限り、許可をすることができる。  一 再生債務者の営業又は事業の全部又は重要な一部の譲渡  二 再生債務者の子会社等(会社法第二条第三号の二に規定する子会社等をいう。ロにおいて同じ。)の株式又は持分の全部又は一部の譲渡(次のいずれにも該当する場合における譲渡に限る。)    イ 当該譲渡により譲り渡す株式又は持分の帳簿価額が再生債務者の総資産額として法務省令で定める方法により算定される額の五分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)を超えるとき。    ロ 再生債務者が、当該譲渡がその効力を生ずる日において当該子会社等の議決権の総数の過半数の議決権を有しないとき。

*3 : 裁判所は、前項の処分(以下「監督命令」という。)をする場合には、当該監督命令において、一人又は数人の監督委員を選任し、かつ、その同意を得なければ再生債務者がすることができない行為を指定しなければならない。