評価方法

2022/03/25 14:34

民事再生法上の財産評定の評定基準

民事再生手続上の評定基準は、「財産を処分するものとして」評定することが求められています。
民事再生規則第56条(価額の評定の基準等・法第百二十四条)

これは、民事再生手続ではなく、破産等により、債務者(会社)の協力が得られない状況で、早期に売却する、早期処分価格、と解されています。

雑にいえば、バッタ価格、バルク価格、倒産品価格、ということになります(雑に言っています)。

では、評価においてよく問題となる事項をみていきましょう。
できれば、民事再生法経理実務ハンドブックを一読したほうがいいですが、古い本なので、あまり信用しすぎないようにしましょう。

棚卸資産

これは在庫の種類によって、かなり評価が異なります。
最近は、在庫の評価会社もいくらかありますが、コストもかかりますし、民事再生手続において利用されることは少ないようには思います。
食品
「破産会社*1の食品の特売をやります。いくらなら買いたいですか。しかも一般売りではなく、一括でのバルク売りです」

ということになります*2

生産食品なら、まずゼロに近い評価。冷凍食品であれば、いくらか値はつくかも知れませんが、その食品が原因で食中毒が起きても管財人は責任をとってくれないですので、相応に低くなります。
またロットの大きさの問題もあるでしょう。開始決定日現在で、資金がなければ、冷凍庫の電源を切らざるを得ないかも知れず、そうした場合にはもっと低くなるでしょう。

いくらかの値がつくとしても、破産会社の食品はトレーサビリティが担保されないし、管財人の瑕疵担保免責で売却するでしょうから、かなり低い評価となります。
「かなり低い評価」の程度
一番よいのは、業界内で破産品の売買情報があれば一番利用しやすいです。
それがない場合には、いろいろ工夫はあるのですが、あまりに事例によることが多いので、ここでの言及は差し控えます。ご質問ある方は、ご連絡ください。
工業製品
特定のメーカーに納める部品などは、ある程度で売れるかも知れませんが、その製品の特殊性、代替品の有無、これまでの事例などで、個別に評価していく必要があります。
工場や営業の現場の話をよく聞く必要があるでしょう。
仕掛品
これも進捗度によって異なる場合もあるし、一括での低い評価となる場合もあります。
特殊な技術なく、あと少しで完成という場合なら、一定の高め評価かも知れませんが、進捗度が低いと、材料としても売れず、完成されるにもコストがかかりすぎるということであれば、マイナスとなり、評価ゼロで、処分費用を見積もる、ということも珍しくありません。
建築物
仕掛品同様ですが、進捗度を加味することが多いです。
一般製品
通常通りの仕上がりであればいいですが、引き取るほうとしては、仮に製品に欠陥や瑕疵があった場合に、破産管財人は責任とってくれませんので、やはり通常の評価よりは低くなるでしょう。

評価方法その2に続く

*1 : 「破産会社」ではなく「民事再生会社」ではないの?と思われるかも知れませんが、財産評定はあくまでも"破産した場合の早期処分価格"なので、こういう想定となります。

*2 : もちろん、他のシナリオも考えられますが、ここは一般的な事例としてあげています