2020/07/21(火)民事再生法第148条(担保権消滅の許可等)

 (担保権消滅の許可等)
第百四十八条 再生手続開始の時において再生債務者の財産につき第五十三条第一項に規定する担保権(以下この条、次条及び第百五十二条において「担保権」という。)が存する場合において、当該財産が再生債務者の事業の継続に欠くことのできないものであるときは、再生債務者等は、裁判所に対し、当該財産の価額に相当する金銭を裁判所に納付して当該財産につき存するすべての担保権を消滅させることについての許可の申立てをすることができる。

2 前項の許可の申立ては、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。
  一 担保権の目的である財産の表示
  二 前号の財産の価額
  三 消滅すべき担保権の表示
  四 前号の担保権によって担保される債権の額

3 第一項の許可の決定があった場合には、その裁判書を、前項の書面(以下この条及び次条において「申立書」という。)とともに、当該申立書に記載された同項第三号の担保権を有する者(以下この条から第百五十三条までにおいて「担保権者」という。)に送達しなければならない。この場合においては、第十条第三項本文の規定は、適用しない。

4 第一項の許可の決定に対しては、担保権者は、即時抗告をすることができる。

5 前項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を担保権者に送達しなければならない。この場合においては、第十条第三項本文の規定は、適用しない。

6 第二項第三号の担保権が根抵当権である場合において、根抵当権者が第三項の規定による送達を受けた時から二週間を経過したときは、根抵当権の担保すべき元本は、確定する。

7 民法第三百九十八条の二十第二項の規定は、第一項の許可の申立てが取り下げられ、又は同項の許可が取り消された場合について準用する。

2020/07/20(月)民事再生法第149条(価額決定の請求)

(価額決定の請求)
第百四十九条 担保権者は、申立書に記載された前条第二項第二号の価額(第百五十一条及び第百五十二条において「申出額」という。)について異議があるときは、当該申立書の送達を受けた日から一月以内に、担保権の目的である財産(次条において「財産」という。)について価額の決定を請求することができる。

2 前条第一項の許可をした裁判所は、やむを得ない事由がある場合に限り、担保権者の申立てにより、前項の期間を伸長することができる。

3 第一項の規定による請求(以下この条から第百五十二条までにおいて「価額決定の請求」という。)に係る事件は、再生裁判所が管轄する。

4 価額決定の請求をする者は、その請求に係る手続の費用として再生裁判所の定める金額を予納しなければならない。

5 前項に規定する費用の予納がないときは、再生裁判所は、価額決定の請求を却下しなければならない。

2020/07/19(日)民事再生法第150条(財産の価額の決定)

(財産の価額の決定)
第百五十条 価額決定の請求があった場合には、再生裁判所は、当該請求を却下する場合を除き、評価人を選任し、財産の評価を命じなければならない。

2 前項の場合には、再生裁判所は、評価人の評価に基づき、決定で、財産の価額を定めなければならない。

3 担保権者が数人ある場合には、前項の決定は、担保権者の全員につき前条第一項の期間(同条第二項の規定により期間が伸長されたときは、その伸長された期間。第百五十二条第一項において「請求期間」という。)が経過した後にしなければならない。この場合において、数個の価額決定の請求事件が同時に係属するときは、事件を併合して裁判しなければならない。

4 第二項の決定は、価額決定の請求をしなかった担保権者に対しても、その効力を有する。

5 価額決定の請求についての決定に対しては、再生債務者等及び担保権者は、即時抗告をすることができる。

6 価額決定の請求についての決定又は前項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を再生債務者等及び担保権者に送達しなければならない。この場合においては、第十条第三項本文の規定は、適用しない。

2020/07/18(土)民事再生法第151条(費用の負担)

 (費用の負担)
第百五十一条 価額決定の請求に係る手続に要した費用は、前条第二項の決定により定められた価額が、申出額を超える場合には再生債務者の負担とし、申出額を超えない場合には価額決定の請求をした者の負担とする。ただし、申出額を超える額が当該費用の額に満たないときは、当該費用のうち、その超える額に相当する部分は再生債務者の負担とし、その余の部分は価額決定の請求をした者の負担とする。

2 前条第五項の即時抗告に係る手続に要した費用は、当該即時抗告をした者の負担とする。

3 第一項の規定により再生債務者に対して費用請求権を有する者は、その費用に関し、次条第一項の規定により納付された金銭について、他の担保権者に先立ち弁済を受ける権利を有する。

4 次条第四項の場合には、第一項及び第二項の費用は、これらの規定にかかわらず、再生債務者の負担とする。この場合においては、再生債務者に対する費用請求権は、共益債権とする。

2020/07/17(金)民事再生法第152条(価額に相当する金銭の納付等)

 (価額に相当する金銭の納付等)
第百五十二条 再生債務者等は、請求期間内に価額決定の請求がなかったとき、又は価額決定の請求のすべてが取り下げられ、若しくは却下されたときは申出額に相当する金銭を、第百五十条第二項の決定が確定したときは当該決定により定められた価額に相当する金銭を、裁判所の定める期限までに裁判所に納付しなければならない。

2 担保権者の有する担保権は、前項の規定による金銭の納付があった時に消滅する。

3 第一項の規定による金銭の納付があったときは、裁判所書記官は、消滅した担保権に係る登記又は登録の抹消を嘱託しなければならない。

4 再生債務者等が第一項の規定による金銭の納付をしないときは、裁判所は、第百四十八条第一項の許可を取り消さなければならない。

2020/07/16(木)民事再生法第153条(配当等の実施)

 (配当等の実施)
第百五十三条 裁判所は、前条第一項の規定による金銭の納付があった場合には、次項に規定する場合を除き、配当表に基づいて、担保権者に対する配当を実施しなければならない。

2 担保権者が一人である場合又は担保権者が二人以上であって前条第一項の規定により納付された金銭で各担保権者の有する担保権によって担保される債権及び第百五十一条第一項の規定により再生債務者の負担すべき費用を弁済することができる場合には、裁判所は、当該金銭の交付計算書を作成して、担保権者に弁済金を交付し、剰余金を再生債務者等に交付する。

3 民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第八十五条及び第八十八条から第九十二条までの規定は第一項の配当の手続について、同法第八十八条、第九十一条及び第九十二条の規定は前項の規定による弁済金の交付の手続について準用する。

2020/07/15(水)民事再生法第154条(再生計画の条項)

 (再生計画の条項)
第百五十四条 再生計画においては、次に掲げる事項に関する条項を定めなければならない。
  一 全部又は一部の再生債権者の権利の変更
  二 共益債権及び一般優先債権の弁済
  三 知れている開始後債権があるときは、その内容

2 債権者委員会が再生計画で定められた弁済期間内にその履行を確保するため監督その他の関与を行う場合において、再生債務者がその費用の全部又は一部を負担するときは、その負担に関する条項を定めなければならない。

3 第百六十六条第一項の規定による裁判所の許可があった場合には、再生計画の定めによる再生債務者の株式の取得に関する条項、株式の併合に関する条項、資本金の額の減少に関する条項又は再生債務者が発行することができる株式の総数についての定款の変更に関する条項を定めることができる。

4 第百六十六条の二第二項の規定による裁判所の許可があった場合には、再生計画において、募集株式(会社法第百九十九条第一項に規定する募集株式をいい、譲渡制限株式であるものに限る。以下この章において同じ。)を引き受ける者の募集(同法第二百二条第一項各号に掲げる事項を定めるものを除く。以下この章において同じ。)に関する条項を定めることができる。

参照

民事再生規則第83条(共益債権及び一般優先債権に関する条項・法第百五十四条)

2020/07/14(火)民事再生法第155条(再生計画による権利の変更)

 (再生計画による権利の変更)
第百五十五条 再生計画による権利の変更の内容は、再生債権者の間では平等でなければならない。ただし、不利益を受ける再生債権者の同意がある場合又は少額の再生債権若しくは第八十四条第二項に掲げる請求権について別段の定めをし、その他これらの者の間に差を設けても衡平を害しない場合は、この限りでない。

2 前項の規定にかかわらず、約定劣後再生債権の届出がある場合における再生計画においては、再生債権(約定劣後再生債権を除く。)を有する者と約定劣後再生債権を有する者との間においては、第三十五条第四項に規定する配当の順位についての合意の内容を考慮して、再生計画の内容に公正かつ衡平な差を設けなければならない。

3 再生計画によって債務が負担され、又は債務の期限が猶予されるときは、特別の事情がある場合を除き、再生計画認可の決定の確定から十年を超えない範囲で、その債務の期限を定めるものとする。

4 再生手続開始前の罰金等については、再生計画において減免その他権利に影響を及ぼす定めをすることができない。

5 再生手続開始前の共助対象外国租税の請求権について、再生計画において減免その他権利に影響を及ぼす定めをする場合には、徴収の権限を有する者の意見を聴かなければならない。

2020/07/13(月)民事再生法第156条(権利の変更の一般的基準)

 (権利の変更の一般的基準)
第百五十六条 再生債権者の権利を変更する条項においては、債務の減免、期限の猶予その他の権利の変更の一般的基準(約定劣後再生債権の届出があるときは、約定劣後再生債権についての一般的基準を含む。)を定めなければならない。
参照
届出のない再生債権の取扱 181条

2020/07/12(日)民事再生法第157条(届出再生債権者等の権利に関する定め)

 (届出再生債権者等の権利に関する定め)
第百五十七条 再生債権者の権利を変更する条項においては、届出再生債権者及び第百一条第三項の規定により認否書に記載された再生債権者の権利のうち変更されるべき権利を明示し、かつ、前条の一般的基準に従って変更した後の権利の内容を定めなければならない。ただし、第百五十九条及び第百六十条第一項に規定する再生債権については、この限りでない。

2 前項に規定する再生債権者の権利で、再生計画によってその権利に影響を受けないものがあるときは、その権利を明示しなければならない。