評価方法その3
2022/04/07 13:20
はじめての財産評定
評価方法その3 / 固定資産
実務では不動産鑑定評価を取得することが多いですが、固定資産税評価額や相続税評価額を基礎とした時価推定価額を採用することもあります。鑑定費用、当該資産の重要性などから総合的に評価方法を判断します。不動産鑑定の場合、特定価格を不動産鑑定士に算出してもらいます。
不動産の(民事再生手続における)特定価格は、早期売却価格のことです。
不動産鑑定基準 第1章4節Ⅱ*1
通常の鑑定価格は、正常価格と呼ばれ、実務では正常価格をまず算出してから、特定価格減価をして、特定価格を求めることがよく行われています。一般的には、正常価格の15%~30%OFFが多いです。
公認会計士も、不動産鑑定だから、と言って鵜呑みにすることはせず、きちんと読み込み、批判的な検討をした上で、財産評定に採用します。必要に応じて、鑑定士とディスカッションをすることもあります。
不動産鑑定を実施しない場合
土地
相続税路線価÷0.8路線価がない地域は、固定資産税評価額÷0.7
とすることが多いです。
相続税路線価と固定資産税路線価は異なるものなので、混乱しないように注意しましょう。
相続税路線価は国税庁が毎年発表しており、時価相当額の80%を目処に評価していることを公表しています。
変形地等の修正をどこまでかけるかは議論があるところですが、相続税基本通達に沿って修正することが多いです。
一方、固定資産税評価は、総務省所管の固定資産の評価の基準並びに評価の実施の方法及び手続第1章土地 12節 経過措置の中で、基準地価や鑑定士価格の7割とすることが定められています*2。
建物
建物について鑑定評価を取得しない場合には、物件や事案によって様々な方向があります。例えば流通している他の同種不動産データからの類推や、固定資産税評価額を基礎とすることがあります。
建物の用途が住居(社宅、投資用不動産)であればいいのですが、工場となると、やはり不動産鑑定が必須となることが一般的です。
借地権
借地権は会計士を悩ますことが多いですが、相続税路線価に掲載されている借地権割合を使用することが多いでしょう。ただし、そもそも借地契約の種類をきちんと確認して、借地権が発生するタイプかどうかなど、よく検討しないといけません。
中小企業だと社長個人不動産を会社に賃貸していることもあり、この場合は要注意です。