2022/03/19(土)破産法15,16条(破産手続開始の原因)

(破産手続開始の原因)
第十五条 債務者が支払不能にあるときは、裁判所は、第三十条第一項の規定に基づき、申立てにより、決定で、破産手続を開始する。

2 債務者が支払を停止したときは、支払不能にあるものと推定する。

(法人の破産手続開始の原因)
第十六条 債務者が法人である場合に関する前条第一項の規定の適用については、同項中「支払不能」とあるのは、「支払不能又は債務超過(債務者が、その債務につき、その財産をもって完済することができない状態をいう。)」とする。

2 前項の規定は、存立中の合名会社及び合資会社には、適用しない。

参照

民事再生法第21条(再生手続開始の申立て)

2022/03/19(土)会社法467条(事業譲渡等の承認等)

(事業譲渡等の承認等)
第四百六十七条 株式会社は、次に掲げる行為をする場合には、当該行為がその効力を生ずる日(以下この章において「効力発生日」という。)の前日までに、株主総会の決議によって、当該行為に係る契約の承認を受けなければならない。
  一 事業の全部の譲渡
  二 事業の重要な一部の譲渡(当該譲渡により譲り渡す資産の帳簿価額が当該株式会社の総資産額として法務省令で定める方法により算定される額の五分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)を超えないものを除く。)
二の二 その子会社の株式又は持分の全部又は一部の譲渡(次のいずれにも該当する場合における譲渡に限る。)
    イ 当該譲渡により譲り渡す株式又は持分の帳簿価額が当該株式会社の総資産額として法務省令で定める方法により算定される額の五分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)を超えるとき。
    ロ 当該株式会社が、効力発生日において当該子会社の議決権の総数の過半数の議決権を有しないとき。
  三 他の会社(外国会社その他の法人を含む。次条において同じ。)の事業の全部の譲受け
  四 事業の全部の賃貸、事業の全部の経営の委任、他人と事業上の損益の全部を共通にする契約その他これらに準ずる契約の締結、変更又は解約
  五 当該株式会社(第二十五条第一項各号に掲げる方法により設立したものに限る。以下この号において同じ。)の成立後二年以内におけるその成立前から存在する財産であってその事業のために継続して使用するものの取得。ただし、イに掲げる額のロに掲げる額に対する割合が五分の一(これを下回る割合を当該株式会社の定款で定めた場合にあっては、その割合)を超えない場合を除く。
    イ 当該財産の対価として交付する財産の帳簿価額の合計額
    ロ 当該株式会社の純資産額として法務省令で定める方法により算定される額

2 前項第三号に掲げる行為をする場合において、当該行為をする株式会社が譲り受ける資産に当該株式会社の株式が含まれるときは、取締役は、同項の株主総会において、当該株式に関する事項を説明しなければならない。

参照

民事再生法第43条(事業等の譲渡に関する株主総会の決議による承認に代わる許可)

破産前事業譲渡

2022/03/17 16:32
プロの方ならご存じでしょう。事業譲渡にも状況によって様々な種類があることを。

ここでは、民事再生から離れて、破産手続申立前の事業譲渡についての話です。

多額の公租公課債権があること等で、事業継続型の手続を選択できない場合、破産前に事業譲渡をして事業を生かす方法があります。

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私的整理と法的整理

私的整理と法的整理の大きな違い
  1. 法的整理は取引債権者を巻き込むが、私的整理は原則金融機関のみ
  2. 法的整理は多数決原理であるが、私的整理は全員賛成
どちらも一長一短あるものです。

私的整理しか経験のないプロが法的整理で迷うのが、取引債権者も巻き込んでしまうことでしょう。

「取引債権者を引っかけておいて事業継続できるのか」

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民事再生を適用できる組織

会社更生手続は株式会社しか利用できません。
保険会社などは特別法がありますが、これも株式会社か相互会社です。

民事再生手続の幅は広く、個人、法人(株式会社、有限会社、社団法人、財団法人、公益法人、組合、特殊組合、その他)などなど、相続財産以外に適用が可能です。外国会社の支店なども利用できます。

漁業組合でも、農業組合でも、特殊な法人でも大丈夫と解されています。

規模も大規模な法人から個人事業主まで、どんな規模でも大丈夫です。

地場の組合など、債務超過で困っていることはありませんか?
一度専門家に相談されるといいと思います。

資金繰りがみえてますか?

会社から相談があったら、プロの先生方は「資金繰り計画を作っていますか?毎日の日繰りで作成していますか?」と経営者に質問することでしょう。

日繰りでの資金繰り計画を作成していたとしても、それが本当に信頼できるものか、どのように判断してらっしゃいますでしょうか。

はまるポイントは主に以下の点ではないでしょうか。

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民事再生における事業譲渡

スポンサーに対して事業を譲渡するスキームとしては、以下のような形がありえます。
  1. 再生計画の中で実施
    1. 株式を減増資してスポンサーに株式を割り当て。スポンサーが会社に融資。
    2. 会社分割してスポンサー企業に譲渡
      1. 株式の行方はともかく、スポンサーが会社に融資
      2. (その他もありえます)
  • 再生計画(案)の決議を待たずに譲渡(計画外譲渡と呼ばれます)
    • 早期に事業譲渡
    • 早期に会社分割(事業譲渡より時間がかかります)
ここでは、事業の計画外譲渡について取り上げます。

再生計画(案)の決議をする債権者集会まで、通常5ヶ月かかります(東京地裁標準スケジュール)。
ところが、民事再生手続を申し立てると、取引先の信用不安から取引が円滑に進まず、事業価値の棄損が激しいことがあります。また、棄損の程度は低くても、資金が持たず、民事再生手続を継続できなくなる可能性もよくあるところです。

このような場合、早期にスポンサーに事業譲渡することで事業価値の劣化を防ぎ、再生手続の完遂を目指すことができます。

いくつか要件はありますが、申立から最短1ヶ月~3ヶ月の間で事業譲渡する例が多いです。
(といっても、最短の1ヶ月はかなり珍しく、2ヶ月程度が多いと思います。)

スポンサーにとっても事業価値が劣化して使い物になるうちに事業を譲り受けることができますし、債権者にとっても、より高い金額で譲渡できたほうが弁済率が高くなるので、経済的にはwin-winと言えます。

しかし、このスピード感で、債権者・監督委員が納得しうるスポンサー選定をし、適切な財産評定をするのは、かなり手慣れた公認会計士がいないと難しいでしょう。
なので、相談する専門家は、再生手続に慣れている人を選びましょう。

民事再生標準スケジュール

民事再生手続は各地方裁判所によって運用が異なります。
東京地裁では、標準スケジュールとして以下の運用がなされています。
細かいところで標準スケジュールからはずれることはありますが、概ね、申立から5ヶ月で再生計画案の認可まで進むことが多いと思います。
手続申立日からの日数
申立・予納金納付0日
進行協議の期日~1日
 保全処分発令・監督委員選任~2日
 会社主催の債権者説明会~6日
第1回裁判所打ち合わせ期日1週間
 開始決定1週間
 債権届出期限1ヶ月+1週間
 財産評定書125条報告書提出期限2ヶ月+1週間
 再生計画(草案)提出期限2ヶ月+1週間
 認否書 提出期限2ヶ月+1週間
第2回裁判所打ち合わせ期日2ヶ月
 一般調査期間10週間~11週間
 再生計画(案)提出期限3ヶ月
第3回裁判所打ち合わせ期日3ヶ月
監督委員意見書提出期限3ヶ月+1週間
債権者集会招集決定3ヶ月+1週間
書面投票期間集会の8日前まで
債権者集会・認否決定5ヶ月
5ヶ月で終わるといっても、そこから計画案の確定まで1ヶ月、そこから計画に従った弁済が始まりますので、第1回の弁済まで考えると最低でも8ヶ月程度(再生計画で第1回弁済が遅いタイプだともっと遅くなる)かかります。

何らかの事情があり、再生計画(案)を期限内に策定できない場合には、計画案提出の期日伸長の申立をすれば、おおむね3ヶ月以内程度の伸長が認められる場合があります(ちゃんとした理由が必要です)。

民事再生手続申立に必要な書面

民事再生手続に必要な書面は数多くあります。
各地方裁判所によって、要求資料は変わりますので、事前に確認するようにしましょう。

申立時

  • 申立書     -弁護士が作成します
  • 保全処分申立書 -弁護士が作成します
  • 債権者一覧表  -債権者リストとも言います
  • 資金繰り表   -公認会計士が指導します。必要に応じて会社情報を利用して会計士が作成します。
    • 月次過去1年分
    • 日繰り計画5~6ヶ月分
  • 法人の登記簿謄本-履歴事項全部証明書。登記所で取得できます。
  • 定款コピー
  • 取締役会議事録 -民事再生を申し立てることの議決。取締役会がない場合には取締役決定書等
  • 株主名簿
  • 就業規則
  • 決算書3期分   -1期分でよい場合もある
民再規則 申立時添付書類

この中で一番苦労するのが、債権者一覧表と資金繰り表です。

債権者説明会時

債権者説明会の時の資料は特に法定はされていませんが、債権者に対し、再生手続開始について理解を求めるために以下のような資料を準備するのが一般的です。
  • 式次第
  • 再生手続に関する説明
    • 窮境原因の説明
    • 財務、資金の状況
    • 再生手続とは
    • 保全処分の説明
    • 今後の取引についての説明  -取引先には今後の取引継続の協力を依頼する必要があります。
  • 直近の決算書
  • 保全処分の決定書(保全命令)
  • 監督委員の選任決定書
説明会終了後、直ちに議事録を作成し、監督委員と裁判所に提出します。

申立後約2ヶ月後の期日(指定されます)

  • 認否書
  • 財産評定書
  • 125条報告書
  • 再生計画(案)ドラフト

申立後約3ヶ月の期日(指定されます)

  • 再生計画(案)