2020/08/25(火)民事再生法第120条の2(社債管理者等の費用及び報酬)

 (社債管理者等の費用及び報酬)
第百二十条の二 社債管理者又は社債管理補助者が再生債権である社債の管理に関する事務を行おうとする場合には、裁判所は、再生手続の目的を達成するために必要があると認めるときは、当該社債管理者又は社債管理補助者の再生債務者に対する当該事務の処理に要する費用の請求権を共益債権とする旨の許可をすることができる。

2 社債管理者又は社債管理補助者が前項の許可を得ないで再生債権である社債の管理に関する事務を行った場合であっても、裁判所は、当該社債管理者又は社債管理補助者が再生債務者の事業の再生に貢献したと認められるときは、当該事務の処理に要した費用の償還請求権のうちその貢献の程度を考慮して相当と認める額を共益債権とする旨の許可をすることができる。

3 裁判所は、再生手続開始後の原因に基づいて生じた社債管理者又は社債管理補助者の報酬の請求権のうち相当と認める額を共益債権とする旨の許可をすることができる。

4 前三項の規定による許可を得た請求権は、共益債権とする。

5 第一項から第三項までの規定による許可の決定に対しては、即時抗告をすることができる。

6 前各項の規定は、次の各号に掲げる者の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める債権で再生債権であるものの管理に関する事務につき生ずる費用又は報酬に係る請求権について準用する。
  一 担保付社債信託法(明治三十八年法律第五十二号)第二条第一項に規定する信託契約の受託会社 同項に規定する社債
  二 医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第五十四条の五に規定する社会医療法人債管理者又は同法第五十四条の五の二に規定する社会医療法人債管理補助者 同法第五十四条の二第一項に規定する社会医療法人債
  三 投資信託及び投資法人に関する法律(昭和二十六年法律第百九十八号)第百三十九条の八に規定する投資法人債管理者又は同法第百三十九条の九の二第一項に規定する投資法人債管理補助者 同法第二条第十九項に規定する投資法人債
  四 保険業法(平成七年法律第百五号)第六十一条の六に規定する社債管理者又は同法第六十一条の七の二に規定する社債管理補助者 相互会社(同法第二条第五項に規定する相互会社をいう。)が発行する社債
  五 資産の流動化に関する法律(平成十年法律第百五号)第百二十六条に規定する特定社債管理者又は同法第百二十七条の二第一項に規定する特定社債管理補助者 同法第二条第七項に規定する特定社債

2020/08/24(月)民事再生法第121条(共益債権の取扱い)

 (共益債権の取扱い)
第百二十一条 共益債権は、再生手続によらないで、随時弁済する。

2 共益債権は、再生債権に先立って、弁済する。

3 共益債権に基づき再生債務者の財産に対し強制執行又は仮差押えがされている場合において、その強制執行又は仮差押えが再生に著しい支障を及ぼし、かつ、再生債務者が他に換価の容易な財産を十分に有するときは、裁判所は、再生手続開始後において、再生債務者等の申立てにより又は職権で、担保を立てさせて、又は立てさせないで、その強制執行又は仮差押えの中止又は取消しを命ずることができる。共益債権である共助対象外国租税の請求権に基づき再生債務者の財産に対し国税滞納処分の例によってする処分がされている場合におけるその処分の中止又は取消しについても、同様とする。

4 裁判所は、前項の規定による中止の命令を変更し、又は取り消すことができる。

5 第三項の規定による中止又は取消しの命令及び前項の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。

6 前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。

2020/08/23(日)民事再生法第122条(一般優先債権)

 (一般優先債権)
第百二十二条 一般の先取特権その他一般の優先権がある債権(共益債権であるものを除く。)は、一般優先債権とする。

2 一般優先債権は、再生手続によらないで、随時弁済する。

3 優先権が一定の期間内の債権額につき存在する場合には、その期間は、再生手続開始の時からさかのぼって計算する。

4 前条第三項から第六項までの規定は、一般優先債権に基づく強制執行若しくは仮差押え又は一般優先債権を被担保債権とする一般の先取特権の実行について準用する。

2020/08/22(土)民事再生法第123条(開始後債権)

 (開始後債権)
第百二十三条 再生手続開始後の原因に基づいて生じた財産上の請求権(共益債権、一般優先債権又は再生債権であるものを除く。)は、開始後債権とする。

2 開始後債権は、再生手続が開始された時から再生計画で定められた弁済期間が満了する時(再生計画認可の決定が確定する前に再生手続が終了した場合にあっては再生手続が終了した時、その期間の満了前に、再生計画に基づく弁済が完了した場合又は再生計画が取り消された場合にあっては弁済が完了した時又は再生計画が取り消された時)までの間は、弁済をし、弁済を受け、その他これを消滅させる行為(免除を除く。)をすることができない。

3 開始後債権に基づく再生債務者の財産に対する強制執行、仮差押え及び仮処分並びに財産開示手続及び第三者からの情報取得手続の申立ては、前項に規定する期間は、することができない。開始後債権である共助対象外国租税の請求権に基づく再生債務者の財産に対する国税滞納処分の例によってする処分についても、同様とする。

2020/08/21(金)民事再生法第124条(財産の価額の評定等)

 (財産の価額の評定等)
第百二十四条 再生債務者等は、再生手続開始後(管財人については、その就職の後)遅滞なく、再生債務者に属する一切の財産につき再生手続開始の時における価額を評定しなければならない。

2 再生債務者等は、前項の規定による評定を完了したときは、直ちに再生手続開始の時における財産目録及び貸借対照表を作成し、これらを裁判所に提出しなければならない。

3 裁判所は、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、評価人を選任し、再生債務者の財産の評価を命ずることができる。
参照
民事再生規則第56条(価額の評定の基準等・法第百二十四条)
民事再生規則第62条(財産目録等の副本による閲覧等)
民事再生規則第64条(再生債務者等による財産目録等の開示)

2020/08/20(木)民事再生法第125条(裁判所への報告)

 (裁判所への報告)
第百二十五条 再生債務者等は、再生手続開始後(管財人については、その就職の後)遅滞なく、次の事項を記載した報告書を、裁判所に提出しなければならない。
  一 再生手続開始に至った事情
  二 再生債務者の業務及び財産に関する経過及び現状
  三 第百四十二条第一項の規定による保全処分又は第百四十三条第一項の規定による査定の裁判を必要とする事情の有無
  四 その他再生手続に関し必要な事項

2 再生債務者等は、前項の規定によるもののほか、裁判所の定めるところにより、再生債務者の業務及び財産の管理状況その他裁判所の命ずる事項を裁判所に報告しなければならない。

3 監督委員は、裁判所の定めるところにより、再生債務者の業務及び財産の管理状況その他裁判所の命ずる事項を裁判所に報告しなければならない。

参照

民事再生規則第57条(財産状況報告集会が招集されない場合の報告書の提出時期等・法第百二十五条)
民事再生規則第58条(貸借対照表等の報告書への添付等・法第百二十五条)
民事再生規則第59条(報告書の提出の促し等・法第百二十五条)
民事再生規則第62条(財産目録等の副本による閲覧等)
民事再生規則第63条(財産状況の再生債務者等による周知)
民事再生規則第64条(再生債務者等による財産目録等の開示)

2020/08/19(水)民事再生法第126条(財産状況報告集会への報告)

 (財産状況報告集会への報告)
第百二十六条 再生債務者の財産状況を報告するために招集された債権者集会においては、再生債務者等は、前条第一項に掲げる事項の要旨を報告しなければならない。

2 前項の債権者集会(以下「財産状況報告集会」という。)においては、裁判所は、再生債務者、管財人又は届出再生債権者から、管財人の選任並びに再生債務者の業務及び財産の管理に関する事項につき、意見を聴かなければならない。

3 財産状況報告集会においては、労働組合等は、前項に規定する事項について意見を述べることができる。

参照

民事再生規則第60条(財産状況報告集会の招集・法第百二十六条)

2020/08/18(火)民事再生法第127条(再生債権者を害する行為の否認)

 (再生債権者を害する行為の否認)
第百二十七条 次に掲げる行為(担保の供与又は債務の消滅に関する行為を除く。)は、再生手続開始後、再生債務者財産のために否認することができる。
  一 再生債務者が再生債権者を害することを知ってした行為。ただし、これによって利益を受けた者が、その行為の当時、再生債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。
  二 再生債務者が支払の停止又は再生手続開始、破産手続開始若しくは特別清算開始の申立て(以下この節において「支払の停止等」という。)があった後にした再生債権者を害する行為。ただし、これによって利益を受けた者が、その行為の当時、支払の停止等があったこと及び再生債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。

2 再生債務者がした債務の消滅に関する行為であって、債権者の受けた給付の価額が当該行為によって消滅した債務の額より過大であるものは、前項各号に掲げる要件のいずれかに該当するときは、再生手続開始後、その消滅した債務の額に相当する部分以外の部分に限り、再生債務者財産のために否認することができる。

3 再生債務者が支払の停止等があった後又はその前六月以内にした無償行為及びこれと同視すべき有償行為は、再生手続開始後、再生債務者財産のために否認することができる。

2020/08/17(月)民事再生法第127条の2(相当の対価を得てした財産の処分行為の否認)

 (相当の対価を得てした財産の処分行為の否認)
第百二十七条の二 再生債務者が、その有する財産を処分する行為をした場合において、その行為の相手方から相当の対価を取得しているときは、その行為は、次に掲げる要件のいずれにも該当する場合に限り、再生手続開始後、再生債務者財産のために否認することができる。
  一 当該行為が、不動産の金銭への換価その他の当該処分による財産の種類の変更により、再生債務者において隠匿、無償の供与その他の再生債権者を害することとなる処分(以下「隠匿等の処分」という。)をするおそれを現に生じさせるものであること。
  二 再生債務者が、当該行為の当時、対価として取得した金銭その他の財産について、隠匿等の処分をする意思を有していたこと。
  三 相手方が、当該行為の当時、再生債務者が前号の隠匿等の処分をする意思を有していたことを知っていたこと。

2 前項の規定の適用については、当該行為の相手方が次に掲げる者のいずれかであるときは、その相手方は、当該行為の当時、再生債務者が同項第二号の隠匿等の処分をする意思を有していたことを知っていたものと推定する。
  一 再生債務者が法人である場合のその理事、取締役、執行役、監事、監査役、清算人又はこれらに準ずる者
  二 再生債務者が法人である場合にその再生債務者について次のイからハまでに掲げる者のいずれかに該当する者
    イ 再生債務者である株式会社の総株主の議決権の過半数を有する者
    ロ 再生債務者である株式会社の総株主の議決権の過半数を子株式会社又は親法人及び子株式会社が有する場合における当該親法人
    ハ 株式会社以外の法人が再生債務者である場合におけるイ又はロに掲げる者に準ずる者
  三 再生債務者の親族又は同居者

2020/08/16(日)民事再生法第127条の3(特定の債権者に対する担保の供与等の否認)

 (特定の債権者に対する担保の供与等の否認)
第百二十七条の三 次に掲げる行為(既存の債務についてされた担保の供与又は債務の消滅に関する行為に限る。)は、再生手続開始後、再生債務者財産のために否認することができる。
  一 再生債務者が支払不能になった後又は再生手続開始、破産手続開始若しくは特別清算開始の申立て(以下この節において「再生手続開始の申立て等」という。)があった後にした行為。ただし、債権者が、その行為の当時、次のイ又はロに掲げる区分に応じ、それぞれ当該イ又はロに定める事実を知っていた場合に限る。
    イ 当該行為が支払不能になった後にされたものである場合 支払不能であったこと又は支払の停止があったこと。
    ロ 当該行為が再生手続開始の申立て等があった後にされたものである場合 再生手続開始の申立て等があったこと。
  二 再生債務者の義務に属せず、又はその時期が再生債務者の義務に属しない行為であって、支払不能になる前三十日以内にされたもの。ただし、債権者がその行為の当時他の再生債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。

2 前項第一号の規定の適用については、次に掲げる場合には、債権者は、同号に掲げる行為の当時、同号イ又はロに掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該イ又はロに定める事実(同号イに掲げる場合にあっては、支払不能であったこと及び支払の停止があったこと)を知っていたものと推定する。
  一 債権者が前条第二項各号に掲げる者のいずれかである場合
  二 前項第一号に掲げる行為が再生債務者の義務に属せず、又はその方法若しくは時期が再生債務者の義務に属しないものである場合

3 第一項各号の規定の適用については、支払の停止(再生手続開始の申立て等の前一年以内のものに限る。)があった後は、支払不能であったものと推定する。